このページでは、給与前払いサービスが違法ではないのか?についてご紹介します。
給与前払いサービスは、大きく分けて2種類です。
・立て替え型…給与前払い分をサービス提供会社が立て替えて支払う
・企業負担型…給与前払い分を企業がサービス提供会社にあらかじめ預けておき、そこから支払う
問題視されているのは、このうち「立て替え型」の前払いサービスです。
サービス提供会社から「お金を立て替えてもらう」イコール「お金を借りている」ということになります。貸金業法の登録がないまま立て替えているのだとすると、貸金業法違反になる可能性があります。
また、従業員が払う手数料が「利息」と認定されるとすると、1.7%以上の場合、年換算で法定の上限利息20%を上回り、利息制限法違反となる可能性があるのです。
無登録での貸金業の営業は「10年以下の懲役もしくは3,000万円以下」の罰則です。以前、給与前払いサービスについて議論を呼んだ「貸金業に当たるのではないか」という問題においては、貸金業法では借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐ目的で「総量規制」が設けられています。
給与前払いサービスが貸金業に該当するなら規制を受けることになりますが、2018年12月に金融庁から発表された見解では、現在貸金業には当たっていません。
立て替え型給与前払いサービスの法的な問題点「給与の前払いサービス会社が貸金業にあたるか」についての、金融庁によって見解を簡単にまとめました。
・給与前払いサービスは従業員の勤怠実績に応じた賃金相当額を上限とした給与支払日までの短期間の給与前払いの立替えである
・導入企業の支払い能力を補完するための資金の立替えではない
・手数料は導入企業の信用力によることなく一定に決められている
といった3点から、貸金業には該当しないとしています。
従業員が給料日よりも前に、働いた分だけの給料を受け取ることができる「給与前払いサービス」は、そのメリットゆえに、様々な企業で導入が進んでいます。また、「給与前払いサービス」をサポートするサービス会社も増加しています。
一方で、「給与前払いには、法律上の問題もあるのではないか?」と指摘されることもあります。
そもそも「給与前払い」は、法律ではどのような扱いになっているのでしょうか?
給料日よりも前に働いた分の給与を従業員に支払うことについて、雇用者に定められている規定は、「労働基準法」の第25条にあります。ここでは、雇用者は、従業員が出産や病気、災害、またそのほかのやむを得ない理由のために帰郷するといった「非常時」にある場合、従業員から給与の前払いを求められれば、それを支払う法律上の義務があるとされています。これは、逆に言えば、雇用者は従業員の非常時以外は、前払いの要望に応える義務はない、ということです。また、支払日までに発生している給与額を超えた金額を支給することも、法律上、禁止されています。
そのため、現在、給与前払いは、従業員に対する雇用者の福利厚生上のメリット、という観点から普及していると言えるでしょう。ただし、事業者自身が給与前払いを行うとなれば、前払いを要望している従業員の勤怠データの計算や記録、また本来の給与支給日に向けた差し引きなど、非常に手間がかかってしまいます。このような手間をなくすために、現在、様々な給与前払い会社が登場しています。
給与前払いサービスを提供する企業は、事業者の負担をなくすため、勤怠管理システムから従業員のデータを受け取り、従業員からの給与前払いの要望があれば、そのデータに応じて、立て替えたり、預かり金から支出したりしながら、給与を支払います。サービス利用の料金形態は様々ですが、基本的には、それに応じた手数料などを、従業員や事業者がサービス会社に支払っています。
一方、給与前払いサービスについては、「貸金業法違反ではないか」という法律上の議論がありました。つまり、「給与前払いは貸付の一種に当たるのでないか」という指摘です。もしそうであれば、給与前払いサービス会社は、貸金業者として登録をしていない状態で、貸付事業を行っていることになります。また、サービスの利用手数料が利息になっているとあれば、「利息制限法違反」にあたる可能性、さらに債権と賃金の相殺に当たるとすれば「労働基準法」にも違反している可能性があります。
こういった議論に対しては、2018年に金融庁から、「給与前払いサービスは貸付に当たらない」という認識が示され、いったんの解決がみられています。
そのほか、法律上の課題としては、「労働基準法」の第24条で定められている「直接払いの原則」に対する違反があります。ここでは、賃金は労働者に対して通貨によって直接、全額を支払わなければならない、という規定があり、給与前払いサービスを通じた給与支払いは、この「直接払いの原則」に違反しているのではないか、と指摘されているのです。
「直接払いの原則」を考慮すれば、給与前払いサービスは、いわゆる「グレー」扱いされることになりますが、例えば、従業員に支払われる前払い分の給与を、預け金として前払い会社に支払っておくことは法律上、認められています。
基本的な用途を見ると給与の前払いと前借りは言葉だけでなく、意味合いも似ています。どちらも、すでに働いた分の賃金を給与日よりも前に受け取れる仕組みです。そして、給与日になれば、それまでに受け取っている給与額が差し引かれた金額が従業員に支払われることも同じです。では、給与の前払いと前借りの違いとは、どこにあるのでしょうか?
それは、従業員にとっての利用のしやすさにあると言えます。給与の前借りは、前払いにように従業員がいつでも自由に利用できるサービスとは、事情が異なります。
前借りが可能なケースは、労働基準法で定められているとおり、従業員の緊急出費が発生している場合です。急な疾病、災害、出産といったどうしてもまとまった金額のお金が必要な場合に、会社に支払いを相談するものが、給与の前借りです。
しかし、給与前払いであれば、この制度を設置している企業であれば、お金が必要な理由にかかわらず、従業員はいつでも自由に給与の前払いを申請することができます。法律では前借りに応じる義務はないとされている、生活費の補填や結婚式、旅行といった用途の場合でも、給与前払いは利用することができます。従業員にとっての利用のしやすさこそ、給与の前払いと前借りの一番大きな違いと言えるでしょう。
給与の「前借り」は、「労働基準法」にも前借りについての規定が定められているれっきとした制度です。企業によっては以前から利用可能なものとして一般化していました。
給与の前借りとは、従業員が、給与日よりも前に、給与から一部を先払いしてもらう行為のことです。「急な出費が発生してしまい、どうしてもお金が必要!」といった際に、給与の前借りを会社に相談し、「先に借りる」という形式で受け取ることができます。
給与の前借りで受け取ることができる金額は、既に働いた日数分、発生している給与額に限られています。前借りとはついていますが、その名称とは異なり、借金ではありません。そのため、1ヶ月の就労日数を仮に25日だと仮定すると、15日目に前借りを申し出た場合、給与は1ヶ月分の3/5、15日分の金額が前借りできる上限となります。法律で定められているものですので、会社は労働者に給与(例で言えば10日分の給与)を先払いすることができません。社内貸付制度を整えている会社もありますが、前借りは借金ではない、ということを覚えておきましょう。
このような前借りですが、労働基準法では、従業員が緊急時に求めれば、会社はこれに応じる法的な義務があることが定められています。
緊急出費として労働金準法に定められているのは、従業員の出産や病気、災害をはじめ、厚生労働省が定める非常事態の場合です。これらに必要な出費に用いる場合、会社は従業員の前借りの相談に応じる法的な義務があります。
この場合の前借りは、会社の従業員であれば誰でも利用できるのもポイント。正社員に限らず、派遣社員やアルバイトといった働き方の方でも同様に、会社は給与の前借りについて従業員から相談があった場合は、これに応じなければなりません。
給与の前借りのほかにも、従業員が利用しているケースとして、カードローンや借入です。
しかし、いずれの場合においても、従業員にとって一番利用しやすいものが、給与の前払いサービスになるでしょう。かードローンや借入をすれば利子が発生し、返済が滞ってしまるとトラブルに原因にもなりかねません。
「前借り」は法律的に応じる義務がありますが、あくまでも緊急事態のみ。普段からは利用することができない点には注意が必要です。
しかし、給与の前払いであれば、緊急事態への対応というだけでなく、さまざまな状況に合わせて、給与を受け取ることができます。スムーズな受け渡しは企業・従業員の双方にとってメリットとなります。福利厚生のひとつとして、給与を支払うタイミングを調整したいと検討しているので、給与の前払いサービスの導入をおすすめします。
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