このページでは、「従業員貸付制度」についてご紹介します。
「まとまったお金を借りたい!」というシーンで思いつく借入先としては、金融機関や消費者金融、カードローン等が一般的です。しかし、もしも会社勤めをしており、一定の条件を満たしているならば、自分が働いている会社からお金を借りることができるかもしれません。
このように、会社からお金を借りることができる制度のことを「従業員貸付制度」と言います。「社内貸付制度」とも呼ばれることがあるこの制度は、会社員の福利厚生の一環として定められているもの。従業員の生活を守るために、必要なお金を会社が貸付することが許されているわけですね。
従業員貸付制度は、基本的に正社員であれば、誰でも会社に申請する資格を有しています。もちろんお金を借りるわけですから、審査の結果、断られる可能性もありますが、申請する資格そのものはあるわけです。
ただし、契約社員や派遣社員、アルバイトなどは、「収入が安定していない」という理由から、従業員貸付制度を利用することができないと考えられます。会社によっても異なりますが、ほとんどの場合、制度の対象外となっています。
従業員貸付制度は、社員の福利厚生の一環。しかし、どのような使い道でも利用できるわけではありません。従業員貸付制度でお金を借りることができるのは、基本的に緊急時、どうしても必要な費用のみとされています。
緊急時に必要なお金の代表としては、病気や事故の入院費用をはじめ、突然の葬儀を行うとき、災害に見舞われたとき、盗難被害などにあい生活資金が必要なとき、また、本人の引越しなどがあげられます。
こういった緊急性が高い出費であれば、会社側も早急に審査を行い、貸付してくれることでしょう。
反対に、借りるお金の使い道が、やむを得ない緊急的な費用ではなく、旅費や趣味などの遊興費は、正当な理由とはみなされず、対象になりません。従業員貸付制度によって会社から融資を受けなくても生活できるなら、「従業員の生活を守る」という本来の目的から外れるためです。
また、会社に嘘をついて、借りたお金をギャンブルなどに使えば、会社内での信用を失うことはもちろん、一括返済などを求められる場合も。あくまでも、生活に困った場合に利用できるものが、従業員貸付制度なのです。
従業員貸付制度でも銀行の融資と同様、お金を借りるには審査があります。銀行や消費者金融では、登録されている信用情報に基づいて融資の可否が審査されますが、従業員貸付制度では、社員としての人事評価や勤続年数によって審査されることが一般的です。
言い換えれば、「社員として真面目な態度で働いているか」、「周囲から認められ、会社のルールを普段から守っているか」といった評価によって、「お金を責任持って返すかどうか」が判断されるわけですね。
また、社内からの信頼については、勤続年数も重要なポイントに。入社して一年に満たない場合は、審査で落とされる可能性も高いですが、5年、10年以上と働き続けている社員であれば、100万円を超えるような融資も受けることができるでしょう。
従業員の生活を守る目的がある従業員貸付制度は、利用条件が金融機関などの貸し付けよりもゆるいと言えます。
とりわけ従業員買付制度では、借入前に自分の信用情報が照会されることがありません。いままでの返済事情や、現在どれほどの借金をしているかにかかわらず、会社からお金を借りることができるのです。
従業員貸付制度でもお金を借りる以上、金利がかかることがほとんど。しかしその金利は、およそ2.0%~4.0%と非常に低金利です。銀行や消費者金融のカードローンであれば10%を超えることもあるほどですから、その差は歴然です。
しかも会社によっては、従業員貸付制度を無利子で行っているところもあるほど。ただし、無利子の場合、用途によっては賞与とみなされて、所得税の課税対象になる可能性もあるため、注意しましょう。
従業員貸付制度で借りたお金は、一般的に、毎月支払われる給与から天引きされて返済できます。そのため、「毎月の振り込みにいかなければならない」といった手間がかからず、返済しやすいと言えます。「振り込みをすっかり忘れていた!」という失敗も、天引きならばありえません。
振り込み手数料などもかからないため、無駄なコストも不要。
ただし、給与の天引きは「労働基準法」によって違法になる場合が定められています。違反にならないように、従業員貸付制度を利用する場合は、労使協定で天引きが認められているかどうかをしっかりと確認してから、天引きについても相談をしましょう。
従業員貸付制度は大企業だけでなく、中小企業でも導入しているケースは珍しくありません。しかしすべての企業が、この制度を整備しているわけではないのです。働いている会社に貸付制度が導入されていなければ、当然ながら、利用することはできません。
社内規定として貸付制度が記載されていない場合は、導入していない可能性が高いです。
従業員借入制度では、原則5年が返済期限になっています。これに基づいて返済計画をしっかりと立てる必要があります。
責任を持って返済していかなければ、税務調査が入った場合、それを会社からの借入金が贈与とみなされてしまい、高額な税金を課せられてしまうことも。
基本的に、借りるお金は必要な金額だけにすることが大切です。せっかくピンチを従業員借入制度で会社に助けてもらっても、お金を返せなくなれば、会社に不利益を負わせてしまうことになります。
会社から借りるお金である、従業員貸付制度の借入金。当然ながら、返済を滞納したり、延滞したりすると、それは会社からの評価にも響きます。社内で評価が落ちれば、今後の出世や給与待遇に悪影響を及ぼしてしまうことに。
また、人事評価は従業員貸付制度で借入をするための審査に大きく関わっていますから、これを落としてしまうと、もしまた従業員貸付制度を利用したいと考えても、許されなくなってしまいます。
給与天引きなどを積極的に活用することはもちろん、返済が滞りかねない懸念があるのであれば、従業員貸付制度を使うことそのものを考え直したほうがよいかもしれません。
働き方の多様化が進む昨今では、退職金の支払い方についても変化が生まれています。これまで退職時に一括して支払われていた退職金ですが、「退職金の相当額を在職中から給与に上乗せして支払う」という、「退職金の前払い制度」を取り入れている企業が増えているのです。
退職金の前払い制度は、1989年に現在のパナソニックである「松下電器産業」が給与制度を導入するなど、早くから注目されてきました。現在では、退職金の給付制度を整えている企業のうち、退職金の前払い制度の導入も増えてきているようです。
退職金の前払い制度を導入する企業が増える背景には、働き方の多様化、特にキャリアアップのあり方がこれまでとは変わってきていることが挙げられます。
かつては新卒で就職した企業に定年まで務めることが一般的であり、働き手もそれを常識としていました。しかし、現在では、個々人の働き方自体の考え方が変わりつつあり、何度も転職を行いながら、個人がキャリアアップを実現していくことも受け入れられるようになってきています。このため、かつてのように勤続年数によって退職金を算定する制度は合わなくなってきたのです。
退職金の前払い制度は、勤続年数などから算定された退職金を月々の給与に上乗せして支払うため、現代の働き方の多様化に対応することができる制度と言えるでしょう。
このような退職金の前払い制度には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか? 企業側・労働者側それぞれの視点から解説します。
これまでの退職金の制度は、社員の退職時に高額の退職金を一括して支払わなければならないため、キャッシュ流出という点からも企業の負担になっていました。しかし、給与前払いの制度を導入すれば、企業は退職金をいわば「分割払い」できるようになるため、負担を軽減させることができます。
また、毎月の給与に退職金の上乗せができれば、求人募集の際により高い給与額を提示することも可能になり、今すぐキャッシュが欲しいと考えている人、好条件の転職先を探す優れたスキルをもった人にアプローチすることもでき、人材確保の可能性を広げられます。
退職金の前払い制度が企業にとって不利になるのは、労働者の転職を招きやすい環境になりかねないことです。退職金を目指して定年まで働き続ける必要がなくなるため、労働者やノウハウの流出が起きやすい状態になるかもしれません。
給与額が増えるため社会保険料の負担が増える、労働者の不祥事などが発覚しても退職金を没収できない、といった点も、デメリットと言えるでしょう。
退職金の前払い制度が労働者に与える最大のメリットは、月々に受け取る給与額が増えることです。また、キャリアアップのためによりハイレベルな企業に転職をする人には優秀な人材も多いため、退職金の前払い制度そのものを魅力的に捉えてもらうこともできるでしょう。老後に準備する退職金を考えるならば、個人型確定拠出年金=「iDeCo」といった選択肢もあるからです。
退職金の前払い制度が労働者にとってデメリットになるのは、退職時にまとまった金額の退職金を受け取ることができない、という点です。こうした課題には個人での積み立てなどで対応しておく必要があります。
しかし、それ以上にデメリットと言えるのは、退職金の税制面での優遇がなくなってしまう、ということです。退職金にはその勤続年数に対し、20年以下に年40万円、20年以上の勤続で年70万円の所得控除がなされます。この控除された後の金額の1/2が課税対象となるため、同じ額を受け取るとしても支払う所得税には大きな差が生じます。
法律上、退職金は「給与」に含まれていませんが、毎月に受け取る退職金についてはあくまでも給与として上乗せされているとみなされてしまいます。そのため、社会保険料等の支払いの対象になってしまうのです。これは企業にとってもデメリットになります。
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